いびきは病気!?いびきの原因と対策・治療方法を徹底解説
いびきは周囲の人に迷惑をかけるようなものから、気付かれないような小さな音までその程度はさまざまです。
しかし、いびきの中には病気が原因で発症しているケースも少なくありません。
加えて重度のいびきは本人の睡眠を妨げるだけでなく、集中力や作業効率の低下を招いたり、合併症を発症するリスクが高くなったりします。
中には、適切な治療が必要な病的ないびきのケースも……。
本記事では、いびきをかく原因と対策、治療方法について徹底解説します。
「身近な人からいびきを指摘された」
「自分のいびきで目が覚めた経験がある」
「身近な人のいびきを改善したい」
このような方は、ぜひ本記事をお読みください。
いびきをかく原因
「怪獣の鳴き声」
「暴走族の騒音」
「雷のような音」
これはあるヘルスケア企業がおこなった、いびきに関するアンケートに寄せられたいびき音を表現した言葉です。
そのほかにも、動物の鳴き声や天変地異、壊れた機械音などさまざまな表現が寄せられていました。
いびきをかくと、なぜこのような音が出てしまうのでしょうか?
“いびき”は空気の通り道である気道が、睡眠時に狭くなったり塞がったりしてしまったために、無理やり空気を通そうとして鼻やのどが振動して音が出てしまうのです。
では、どうして睡眠時に気道が狭くなったり、塞がってしまうのでしょう。
代表的な原因は以下のとおりです。
- 病気
- 骨格
- 肥満
- 寝る姿勢
- 睡眠薬
- 女性ホルモン
順に解説します。
病気
のどちんこ(口蓋垂)が人より長い方、舌が大きい方、のどが狭い方、かぜや鼻炎で鼻が詰まりやすい方、蓄膿症の方。そのほかに、睡眠時無呼吸症候群などの方がいます。
お子さんだと扁桃腺が大きかったり、鼻と喉の境目にあるアデノイドと呼ばれるリンパ組織が大きいことが原因であることが多いです。
いびきをかく原因の病気を治さないと、なかなかいびきはよくなりません。
いびきをかく病気については、次の項目で詳しく解説しますので、ぜひ読んでみてくださいね。
骨格
鼻の骨が曲がっている“鼻中隔彎曲”の方、あごが小さい方、かみ合わせが悪い方、出っ歯の方、下あごが後ろに引っ込んでいる方などはいびきをかきやすい骨格といわれています。
さらに、アジア人は欧米人よりも下あごが後ろに引っ込んでいるため、いびきをかきやすい傾向があります。
肥満
肥満の方は、のどや首の周りにも脂肪がついています。
そのため、普通体型の人よりも空気の通り道が狭くなり、いびきをかきやすくなってしまうのです。
寝る姿勢
仰向けで眠ると、軟口蓋や舌の付け根がのどの奥に落ち込んで、空気の通り道が狭くなりいびきをかきやすくなります。
睡眠薬
睡眠薬は全身の筋肉をリラックスさせる働きがあります。
のどの周りの筋肉もリラックスして、空気の通り道が狭くなってしまうのです。
女性ホルモン
女性ホルモンの一種、“プロゲステロン”は鼻やのどなど空気の通り道を広げる働きがあります。
40歳前後になると多くの女性が、プロゲステロンが減少します。
その結果年齢を重ねるに従って、ほとんどの女性がいびきをかきやすくなってしまうのです。
いびきをかく病気
いびきをかく病気は、大きく次の3つにわけられます。
- いびき症(単純性いびき症)
- 閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)(上気道抵抗症候群を含む)
- 特殊ないびき
順に解説します。
いびき症(単純性いびき症)
いびき症(単純性いびき症)は、一過性すなわち繰り返さないいびきのことです。
一過性のため、体調や睡眠に影響を与えないことがほとんどです。
原因は疲れやアルコール、鼻づまり、風邪など。
これらの原因がなくなれば、いびきをかくこともなくなり、心配しなくてもよいタイプのいびきです。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)(上気道抵抗症候群を含む)
閉塞性睡眠時無呼吸症候群とは、眠っているあいだに10秒以上息が止まっている無呼吸や、呼吸が弱くなる低呼吸を何度も繰り返す病気で以下のような特徴があります。
- 睡眠中に息が止まる
- 止まったとしばらくすると、大きな音ともに呼吸が再開する
- 朝まで続く
- 仰向けに寝ると、音が大きくなる
太っている人に多く、睡眠時無呼吸症候群の患者さんの60%が肥満症であるといわれています。
一晩7時間の睡眠中に、息が止まる無呼吸が30回以上。もしくは、1時間当たり5回以上無呼吸がおこると、睡眠時無呼吸症候群と診断されます。
息が止まっているだけでは「いびきと結びつかないのでは?」と感じる方も多いかもしれません。
息が止まり、弱くなったりしたあと、身体は最大限酸素を取り込もうとします。
そのときに、狭くなった気道にいつもよりたくさんの息が通るため、大きないびきをかくようになるのです。
睡眠時無呼吸症候群は、無呼吸の頻度によって3つの重症度にわけられます。
軽症 | 1時間当たり5~15回 |
中等度 | 1時間当たり16~30回 |
重症 | 1時間当たり30回超 |
睡眠時無呼吸症候群の方は、大きないびき以外にも熟眠感のなさや、のどのかわき、日中の眠気などの自覚症状がみられます。
しかし、多くの人は自分が睡眠時無呼吸症候群であることに気付いていません。
重度の睡眠時無呼吸症候群を放置していると、低酸素血症が続き心臓や脳など全身の血管に負担がかかります。
将来、心筋梗塞や脳血管障害、高血圧、不整脈、糖尿病などの発症リスクが高くなるため、睡眠時無呼吸症候群に気付いたら適切な治療が必要です。
睡眠時無呼吸症候群の治療は、以下の表のように重症度に応じて異なります。
軽症~中等症 | マウスピース |
中等症~重症 | CPAP(経鼻的持続陽圧呼吸)療法 |
いずれの段階でも、睡眠中の気道を確保し低酸素状態がおこりにくくすることが大切です。
特殊ないびき
特殊ないびきとは、甲状腺機能低下症や末端肥大症など内分泌の病気や、のどの周囲の腫瘍、筋肉の萎縮などが原因のいびきです。
これらの病気の影響で、空気の通り道が狭くなることでいびきをかきやすくなります。
いびきの合併症
いびきは慢性的な睡眠に影響を与えるだけでなく、脳や体中の細胞に酸素不足をもたらします。いびきが引き起こす、代表的な合併症を紹介します。
- 学力や集中力の低下
- 日中の眠気
- 疲れやすい
- 心血管系疾患の発症リスク増大
- 口臭や歯周病の悪化
いずれの合併症も、いびきによって質のよい睡眠が妨げられたり、慢性的な低酸素状態になったりすることでおこるものです。
口臭や歯周病は、口を開けている時間が長くなり乾燥するために発症します。
たかが、いびき。
されど、いびき。
いびきも酷くなると、全身にさまざまな影響を与えてしまうのです。
今日からできる!いびきの対策6選
「寝ても寝足りない」
「疲れやすい」
「口臭が改善しない」
もしかすると、あなたの気になる症状はいびきが原因かもしれません。
ここからは、今日からできるいびきの対策を6つ紹介します。
- 横向きに寝る
- 枕の高さを調整する
- 痩せる
- アルコールの量を控える
- 睡眠薬の量や種類を変更する
- 医療機関を受診しいびきの治療を受ける
横向きに寝る
横向きに寝ると、仰向けになったときとは異なり、のどの奥に舌が落ち込みにくくなります。
その結果、空気の通り道が確保されるので、いびきをかきにくくなります。
枕の高さを調整する
高すぎる枕も、低すぎる枕もいびきをかきやすくします。
首のカーブに沿った高さの枕を選ぶと、仰向けに眠ったときでも空気の通り道が確保されやすくなるため、いびきを低減する効果が期待できます。
痩せる
肥満が原因で気道の通り道が狭くなっていびきをかいている人は、痩せましょう。
肥満はいびき、特に睡眠時無呼吸症候群の原因の1つですし、さまざまな合併症の発症リスクを高めます。
2重あごがなくなり、のどぼとけがわかるくらいまで痩せると、いびきがぐっと減るでしょう。
アルコールを控える
眠る前、数時間はアルコールの摂取を避けましょう。
少し酔いがさめたくらいで眠るほうが、いびきの低減効果があります。
どうしても、眠る前にアルコールを摂取したい方は、量は控えめに。
睡眠薬の量や種類を変更する
睡眠薬の種類によっては、過度に筋肉をリラックスさせる効果があるものも。
また筋肉をリラックスさせる効果が低い薬でも、量が増えると、過度に筋肉がリラックスしてしまうことも。
最近は体に負担のかかりにくい睡眠薬も多く販売されています。
睡眠薬を服用していて、いびきが気になる方はぜひ一度かかりつけ医師に相談してください。
医療機関を受診して治療を受ける
いびきが前述の生活習慣の改善でよくならない場合、なんらかの病気が隠れていることもあります。
また痩せるには時間もかかりますし、アルコールや睡眠薬がやめられないという人も多いでしょう。
このような方は、医療機関を受診し治療を受けることをおすすめします。
いびきの受診から治療まで、どのようなことをするのかについては、次の項目でくわしくかいせつしていますので、ぜひ参考にしてください。
いびきの治療方法~受診から治療まで~
いびき対策をしても改善しない方は、医療機関を受診しましょう。
でも風邪やケガと違って、“いびきの治療”ってどのようなことをするのかイメージがつかない方も多いかもしれませんね。
ここでは図を併用しながら、受診からいびき治療までの一例を解説します。
いびきで受診された方は、まず病的な原因がないかを調べます。
加えて生活習慣の改善をしてもいびきが良くならない場合に、マウスピースやCPAP療養、病状によっては外科的手術も考慮します。
あくまでこれはいびきの受診から治療の一例です。
いびきの原因はお一人おひとり異なります。
当院ではひびきの頻度や程度、お悩み、体調から原因を探索し、治療方法を一緒に考えていきます。
いびきが気になる方は、ぜひ一度当院へご相談ください。
いびきは放置せず、当院へご相談を!
いびきは誰にでもおこる可能性があります。
しかし、肥満の方やアルコールを大量に飲む方、鼻の炎症やなんらかの病気にかかっている方は、その頻度や程度が重くなります。
いびきの原因を把握し、適切に対処することで軽減や解消が見込めるかもしれません。
当院ではお一人おひとりの症状からいびきの原因を調べ、適切な治療を提供いたします。
周囲からいびきを指摘される方。
日中の眠気や疲労感が気になる方。
ぜひ一度当院へお気軽にご相談ください。
参考文献
この記事の監修者
・埼玉医科大学医学部卒業
・日本大学附属板橋病院 臨床研修医終了
・東京慈恵会医科大学 耳鼻咽喉科 勤務
・東京慈恵会医科大学附属第三病院 耳鼻咽喉科 勤務
・東京都保健医療公社 豊島病院 耳鼻咽喉科 勤務
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アクセス
- クリニック名
- 医療法人社団皐八会 武田耳鼻咽喉科
- 住所・所在地
- 〒354-0018 埼玉県富士見市西みずほ台1-19-5
- 電話番号
- 049-254-8733
- アクセス
- 東武東上線みずほ台駅西口、駅から徒歩1分。交番隣り。
- 駐車場
- 敷地内駐車場5台。
周辺に無料で使える提携駐車場もあり。 - 営業時間
-
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※日曜日の午前診療は8:30 ~ 9:30です。
みなさまに寄り添った診療を
心がけております。
保険証を持参の上、ご来院ください。
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