あなたのいびきは睡眠時無呼吸症候群かも?症状・原因・検査・治療を専門医が解説
睡眠時無呼吸症候群は眠っているときに、大きないびきとともに息が浅くなったり数秒~数十秒止まったりする病気です。
睡眠時無呼吸症候群で息が止まると睡眠が妨げられたり、休息が取れなかったりするだけでなく、心臓病や糖尿病、脳血管疾患などさまざまな病気の発症リスクを高めます。
本記事では睡眠時無呼吸症候群の症状・原因・検査・治療について耳鼻科専門医がわかりやすく解説します。
睡眠時無呼吸症候群について詳しくなろう
睡眠時無呼吸症候群(すいみんじむこきゅうしょうこうぐん)という言葉を聞いたことはありますか?
まずは睡眠時無呼吸症候群がどのような状態なのか、簡単に解説します。
睡眠時無呼吸症候群とは
睡眠時無呼吸症候群とは、文字通り睡眠時に無呼吸=息が止まってしまう(無呼吸)状態のことです。
医学的には以下のように定義されています。
10秒以上呼吸が止まる「無呼吸」や、呼吸が弱くなる「低呼吸」が、1時間あたり5回以上繰り返される状態 |
具体的にはなんらかの原因で気道が狭くなったり、完全にふさがったりしたために数秒~数十秒息が止まり、大きないびきをきっかけに息をすることを繰り返す状態です。
ある報告では、25人に1人が睡眠時無呼吸症候群だともいわれています。
さらに、治療が必要な人だけでも300万人にのぼるといわれていて、決して他人事ではない現代病の一種です。
睡眠時無呼吸症候群のタイプ
睡眠時無呼吸症候群はその症状から、閉塞型、中枢型、混合型の3つのタイプに分類できます。
ここでは、タイプ別の特徴を解説します。
閉塞型 | 上あごや舌の付け根などが気道を圧迫したために気道が狭くなったり、完全に閉じてしまって息が止まる状態。気道が狭くなっても呼吸をしようと、胸やお腹は動いている。気道が急に広くなったときに、大きないびきが出る。 |
中枢型 | 脳の呼吸中枢からの信号が止まって、呼吸が止まったために無呼吸になってしまう状態。肺や体格・骨格には異常はないが、呼吸自体が止まってしまう。心臓の働きが衰えた人の30~40%に中枢性の無呼吸がみられる。 |
混合型 | はじめに中枢性で無呼吸がはじまり、次第に胸やお腹が動いて努力呼吸になる状態。 |
ご自身がどのタイプにあてはまるかは、睡眠時無呼吸症候群の検査で明らかになります。
気になる方は、ぜひ一度当院へご相談ください。
睡眠時無呼吸症候群の症状
睡眠時無呼吸症候群の症状といって、多くの方がイメージするのは“大きないびき”ではないでしょうか?
実は、睡眠時無呼吸症候群ではそのほかにもさまざまな症状が現れます。
ここでは、睡眠時無呼吸症候群の症状を一般的な症状と気付きにくい症状の2つに分類し解説します。
一般的な症状
睡眠時無呼吸症候群の一般的な症状は、以下の2つです。
・大きないびき ・無呼吸 |
そのほかにも、次のような症状が現れます。
・夜中に何度も目が覚める ・口やのどがかわく ・ぐっすり眠った感じがしない ・日中も眠い居眠りをする ・慢性的に疲れがとれない ・集中力が低下する |
疲れやすさや日中の眠気の原因が、睡眠時無呼吸症候群であったというケースも少なくないのです。
気づきにくい症状
大きないびきと無呼吸以外にも睡眠時無呼吸症候群には、いくつかの気づきにくい症状があります。
重度の睡眠時無呼吸症候群では無呼吸の頻度が増え、体内に酸素を取り込む量が減り、慢性的な低酸素状態が続いてしまうのです。
低酸素状態が続くと、心臓や全身の血管に負担やストレスがかかり動脈硬化や高血圧、心筋梗塞、脳梗塞、不整脈を発症しやすくなります。
さらにインスリンなどのホルモンの働きが悪くなり、糖尿病や脂質代謝異常を発症するリスクが高くなると報告されています。
これらの気づきにくい低酸素の症状はときに命にかかわるため、睡眠時無呼吸症候群は適切な治療が必要なのです。
睡眠時無呼吸症候群の原因
睡眠時無呼吸症候群のおもな原因には、以下があります。
・肥満 ・性別 ・年齢 ・頭や顎の形 |
順に解説します。
肥満
肥満の方は、首周りに脂肪が付くため気道が狭くなりやすいです。
肥満は、睡眠時無呼吸症候群の発症リスクを高める最大の原因であることがわかっています。
ある研究では10%体重が増えると、中等度の睡眠時無呼吸症候群を発症するリスクが6倍になると報告されています。
性別
一般的に男性は女性の2〜3倍、睡眠時無呼吸を発症しやすいといわれています。
しかし、年齢を重ね女性が閉経を迎えると、男女差はなくなることがわかっています。
年齢
睡眠時無呼吸症候群になりやすい年齢は、若い人から70歳代くらいまでと幅広いです。
しかし、肥満や頭やあごの形が原因で睡眠時無呼吸症候群を発症している方は、より若い年齢から発症するリスクがあります。
頭やあごの形
上あごや下あごの大きさや位置関係、鼻の通り道が狭い、扁桃腺が大きい方は睡眠時無呼吸症候群を発症するリスクが高くなります。
睡眠時無呼吸症候群の検査
睡眠時無呼吸症候群かどうかは、いくつかの方法で調べることができます。
代表的な検査方法を紹介します。
問診表 | 日中の眠気を調べる質問票を使用する。ベルリン質問紙、エプワース眠気尺度(Epworth Sleepiness Scale: ESS)、STOP-BANG質問紙、STOP質問紙などがあるが、問診表だけでは診断・スクリーニングはできない。 |
簡易検査:アプノモニター | 鼻に息の流れといびきを、指先に酸素飽和度を測定する機械をつけておこなう検査。入院せず、自宅でも簡単におこなえる検査方法。 |
精密検査:終夜睡眠ポリグラフ、ポリソムノグラフィー、PSG | 眠っている時の息の流れやいびき、酸素飽和度以外に、脳波や眼・あごの筋肉の動き、心電図などを総合的に調べる検査。1泊入院し眠っている間に、無呼吸や低呼吸の頻度や持続時間をチェックし、睡眠時無呼吸症候群の重症度を判断する。 |
一番正確な検査は、入院しておこなう“終夜睡眠ポリグラフ ポリソムノグラフィー:PSG”という精密検査です。
しかし、仕事や子育てなどが忙しいために、入院し検査することが難しいケースも少なくありません。
そのため、当院では自宅で簡単にできる簡易検査をおすすめしています。
必要に応じて精密検査をおすすめしますので、睡眠時無呼吸症候群かも?と思った方はぜひ一度当院へご相談ください。
睡眠時無呼吸症候群の治療
睡眠時無呼吸症候群は症状を軽くしたり、なくしたりできる病気です。
治療のポイントは、次の4つです。
・生活習慣を改善する ・減量する ・鼻やのどの病気を治療する ・CPAPを装着する |
順に解説します。
生活週間を改善する
睡眠時無呼吸症候群の症状を軽減するために、規則正しい生活を心がけましょう。
バランスのよい食生活を心がけ、多量飲酒や暴飲暴食を避けたりしましょう。
また運動習慣は、質の良い睡眠を得るだけでなく、減量のきっかけになります。
さらに入浴は入眠を促すきっかけになり、睡眠薬の服用を減らせる可能性があります。
できる範囲から、生活習慣の改善を目指しましょう。
減量する
減量は無呼吸の頻度を減らします。
また減量によって、睡眠時無呼吸症候群が原因の高血圧や糖尿病、脂質異常症が改善することもわかっています。
将来の心臓病や脳血管疾患などの発症リスクを下げるためにも、減量はとても大切なのです。
鼻やのどの病気を治療する
扁桃腺が大きい、顔やあご周りの形になんらかの問題があるなど、鼻やのどの病気が原因で睡眠時無呼吸症候群を発症している方は、早期に適切な治療をおこなうことで症状の改善が見込めます。
当院でも、睡眠時無呼吸症候群の原因になる鼻やのどの病気がないかチェックしています。
いびきや日中の眠気が気になる方は、ぜひ一度当院へご相談ください。
CPAPを装着する
CPAPとは別名経鼻的気道持続陽圧療法という治療方法で、睡眠時無呼吸症候群に一番有効な治療法です。
口と鼻をおおうマスクを装着し、機械で圧力をかけて鼻の中に空気を送り込んで、息が止まらないようにします。
呼吸の状態に合わせて機械が自動で呼吸をサポートするため、患者さんは睡眠時に装着するだけで息が楽にできるようになります。
睡眠時無呼吸症候群かも?と思ったら、当院へご相談を!
「いびきが大きいといわれた」
「眠っている時に息が止まっていると指摘された」
「寝ても、寝ても疲れがとれない」
このような症状に心当たりがある方は、睡眠時無呼吸症候群の可能性があります。
睡眠時無呼吸症候群は、質の良い睡眠を妨げるだけでなく、心臓病や糖尿病、高血圧、不整脈などの発症リスクを高める可能性がある怖い病気です。
当院ではお一人おひとりの体調や、睡眠の状態を調べ適切な治療を提供いたします。
「睡眠時無呼吸症候群かも?」と思った方は、当院へお気軽にご相談ください。
【参考資料】
この記事の監修者
・埼玉医科大学医学部卒業
・日本大学附属板橋病院 臨床研修医終了
・東京慈恵会医科大学 耳鼻咽喉科 勤務
・東京慈恵会医科大学附属第三病院 耳鼻咽喉科 勤務
・東京都保健医療公社 豊島病院 耳鼻咽喉科 勤務
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- クリニック名
- 医療法人社団皐八会 武田耳鼻咽喉科
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