好酸球性副鼻腔炎の原因と症状とは?その効果的な治療方法を日本耳鼻咽喉科学会認定専門医が解説
鼻づまり、鼻水、そして嗅覚の喪失。これらの症状が日常生活の中で悩みの種となっていませんか?
これらの症状の背後には、時折、アレルギーによって引き起こされる好酸球性副鼻腔炎が原因となっている可能性があります。好酸球性副鼻腔炎は、副鼻腔の炎症を伴う疾患であり、特定の免疫細胞である好酸球の増加がその主な原因とされています。
そこで、この記事では好酸球性副鼻腔炎の原因、症状、そして効果的な治療方法について、日本耳鼻咽喉科学会認定専門医の監修のもと詳しく解説いたします。
好酸球性副鼻腔炎とは?
好酸球性副鼻腔炎は、副鼻腔と呼ばれる鼻の周りにある空間の炎症を特徴とする疾患です。
平成27年7月1日より、難病法により国の指定難病となりました。
この炎症は、好酸球という特定の免疫細胞が過剰に増加することによって引き起こされます。
好酸球は通常、アレルギー反応に関与する細胞であり、その増加が炎症の原因となります。
関連ページ:慢性副鼻腔炎(蓄膿症)については
好酸球性副鼻腔炎の原因とメカニズムとは?
好酸球性副鼻腔炎の原因とメカニズムについて解説します。
好酸球性副鼻腔炎の原因は”好酸球”という免疫細胞によるアレルギー反応
好酸球性副鼻腔炎の主な原因は、アレルギー反応によるものです。
アレルギーは、免疫系が本来攻撃すべきでない異物や物質に過剰な反応を示す状態です。
このアレルギー反応により、体内に侵入したアレルゲンと呼ばれる物質に対して、免疫細胞が過剰に反応し、炎症が引き起こされます。
好酸球性副鼻腔炎では、この炎症が副鼻腔内で起こり、好酸球と呼ばれる特定の免疫細胞が増加し、炎症の原因となります。
好酸球性副鼻腔炎の炎症のメカニズム
- アレルギー反応の開始
好酸球性副鼻腔炎のメカニズムは、まずアレルギー反応の開始から始まります。体内にアレルゲンが侵入すると、免疫系がこれに反応し、特定の免疫細胞である好酸球が活性化します。 - 好酸球の増加
アレルゲンによって刺激された免疫細胞である好酸球が、過剰に増加します。好酸球は細胞内に酸性の顆粒を持ち、異物や寄生虫に対する攻撃に関与する役割を果たします。 - 炎症の引き起こし
好酸球の増加により、副鼻腔内で炎症が引き起こされます。この炎症によって副鼻腔が腫れ、充血し、通常の機能が阻害されることで、症状が現れます。 - 症状の発現
炎症が進行すると、副鼻腔内の腫れや充血によって、鼻づまり、鼻水、嗅覚障害、顔面の痛みなどの症状が現れます。
総じて、好酸球性副鼻腔炎のメカニズムは、アレルギー反応によって引き起こされる炎症の過程であると言えます。
好酸球性副鼻腔炎の症状と診断
好酸球性副鼻腔炎は、アレルギーによる鼻の炎症で、特定の免疫細胞である好酸球が関与する疾患です。この疾患の症状と診断方法について詳しく説明します。
好酸球性副鼻腔炎の一般的な症状
- 鼻づまり
副鼻腔の炎症によって鼻腔内が腫れ、通気が妨げられることで鼻づまりが生じます。特に寝ている間や朝起きたときに症状が悪化することがあります。 - 鼻水
副鼻腔内の炎症によって粘液の分泌が増加し、鼻水や鼻の奥からの後鼻漏が生じることがあります。色や質に変化が見られることもあります。 - 嗅覚障害
副鼻腔の炎症が嗅覚神経に影響を与えることで、嗅覚の低下や失われることがあります。食べ物の香りや花の香りなどを感じにくくなることがあります。 - 顔面の圧迫感や痛み
副鼻腔の腫れや充血によって、顔面に圧迫感や軽い痛みを感じることがあります。特に額や頬の部位で症状が現れることが多いです。
好酸球性副鼻腔炎の診断方法
- 専門医の診察
好酸球性副鼻腔炎の症状が続く場合、日本耳鼻咽喉科学会認定専門医の診察を受けることが重要です。専門医による症状の詳細な診察を行い、病状の診断を行います。 - 症状の詳細な報告
患者様は症状の詳細な報告を行うことで、正確な診断を行うための重要な情報を提供できます。症状の発症時期や症状の特徴などを伝えましょう。 - 検査の実施
必要に応じて、鼻内視鏡検査やCTスキャン、鼻茸の生検などを実施し、副鼻腔の状態をスコア化します。そのスコアの合計が11点以上となると好酸球性副鼻腔炎と診断されます。
項目 | スコア |
病側:両側 | 3点 |
鼻茸 | 2点 |
篩骨洞陰影/上顎洞陰影 ≧1 | 2点 |
血中好酸球(%) | – |
2< ≦5 | 4点 |
5< ≦10 | 8点 |
10< | 10点 |
好酸球性副鼻腔炎の効果的な治療法
好酸球性副鼻腔炎の治療には、症状の軽減や炎症の抑制を目指すさまざまな方法があります。以下に、効果的な治療法を紹介します。
抗アレルギー薬、抗菌薬、ステロイドを用いた薬物療法
抗アレルギー薬の使用
アレルギー反応による炎症を軽減するために、抗アレルギー薬が処方されることがあります。抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬は、症状のかゆみや腫れを軽減し、副鼻腔炎の進行を抑制します。
抗菌薬の使用
炎症を抑えるために、抗菌薬やマクロライド療法などが使用されることがあります。これにより炎症による症状が軽減される場合があります。
ステロイドの使用
重度の炎症の場合、口から摂取するステロイド薬や、鼻から吸入するステロイド薬が使用されることがあります。これらの薬は炎症を抑える効果があり、症状の軽減や副鼻腔の状態の改善に寄与します。
ケースに応じた治療戦略の選択
好酸球性副鼻腔炎の治療方法はいくつかあるので、症状の重度によって自分にとって良い治療方法を専門医と相談して選択しましょう。
手術の検討
症状が重度で、薬物療法が効果的でない場合、手術が検討されることがあります。内視鏡下鼻副鼻腔手術(ESS)は、副鼻腔内の炎症部位を取り除くために行われ、症状の緩和を図る手段となります。鼻茸を伴う場合には内服治療で難治のことが多く手術となる場合が多いです。
免疫療法
アレルギー反応の原因となるアレルゲンに対する免疫療法(アレルゲン免疫療法)は、他の治療方法と少し異なり、長期的なアプローチでアレルギー症状の軽減を目指す方法です。
好酸球性副鼻腔炎かと思ったら、まずは当院へご相談を!
好酸球性副鼻腔炎は、アレルギーによる鼻の炎症で、鼻づまり、鼻水、嗅覚障害などの症状があり、手術をしてもすぐに再発する可能性のある難治性の慢性鼻炎でした。(指定難病306)
当院では、日本耳鼻咽喉科学会認定専門医がこれまでの経験と知識を持ち、好酸球性副鼻腔炎を含む鼻の疾患に関する診断と治療、日帰りの内視鏡下鼻副鼻腔手術を行っています。私たちは患者様の症状を丁寧にヒアリングし、必要な検査や診察を通じて正確な診断を行い、適切な治療法を提案いたします。
辛い症状をお抱えの方や、少しでも気になることがある方は、お気軽に当院へご相談ください。
この記事の監修者
・埼玉医科大学医学部卒業
・日本大学附属板橋病院 臨床研修医終了
・東京慈恵会医科大学 耳鼻咽喉科 勤務
・東京慈恵会医科大学附属第三病院 耳鼻咽喉科 勤務
・東京都保健医療公社 豊島病院 耳鼻咽喉科 勤務
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