副鼻腔炎(蓄膿症)の頭痛はなぜおこる?理由と痛みの特徴・治療方法を解説
「鼻が詰まるし、頭も痛い」
「副鼻腔炎の頭痛がひどくて困っている」
「頭痛薬が効かない」
鼻の奥にある副鼻腔に炎症がおこり、膿が溜まる副鼻腔炎(蓄膿症)。
副鼻腔に溜まった膿が脳神経を圧迫し、頭痛がおこることがあります。
症状がひどい方の中には頭痛薬が効かなかったり、慢性的にこめかみの痛みを感じているケースも……。
しかし、副鼻腔炎(蓄膿症)の方の中には、頭痛になったことがないという人もいます。なぜ、同じ副鼻腔炎(蓄膿症)でも症状が異なるのでしょう。
本記事では副鼻腔炎(蓄膿症)で頭痛がおこる理由と痛みの特徴、治療方法方法を解説します。
本記事は、副鼻腔炎(蓄膿症)で頭痛を自覚している方だけでなく、次のような方にもおすすめです。
- 鼻水
- 鼻詰まりがひどい
- 頭痛がある
- 慢性的に頭痛に悩まされている
- 頭痛薬が効かない
- 頭痛
副鼻腔炎(蓄膿症)で頭痛が起きる理由
副鼻腔炎(蓄膿症)で頭痛がおこるメカニズムは、まだはっきりとはわかっていません。
しかし、次のような理由で頭痛が起こってしまうのではないかと推測されています。
1.副鼻腔炎(蓄膿症)に膿が溜まっているため
副鼻腔に膿が溜まると空気の出入りを妨げることがあります。空気の出入りが悪くなると、鼻腔内は換気障害という状態になります。
換気障害になると、普段は陽圧になっている副鼻腔が陰圧になってしまい、頭痛が発生しやすくなるのです。
また、膿が溜まったことで周囲の神経を圧迫し、その刺激を頭痛として感じることがあります。とくに下向きになったときに、三叉神経(さんさしんけい)が圧迫されやすく、頭痛が強くなるというケースがあります。
2.副鼻腔炎(蓄膿症)の炎症が神経に及んでいるため
ひどい副鼻腔炎(蓄膿症)になってしまうと、炎症は副鼻腔内だけにはとどまりません。副鼻腔の周囲にある神経の近くにも炎症が波及し、三叉神経が刺激され頭痛が起こってしまうケースがあります。
関連ページ:慢性副鼻腔炎(蓄膿症)については
副鼻腔炎(蓄膿症)の頭痛はどんな痛み?痛みの特徴を解説
副鼻腔炎(蓄膿症)の頭痛は痛みに特徴があり、以下の2つに大きくわけられます。
2つの特徴について、順に解説します。
特徴1)膿が溜まっている部位で痛む部位が異なる
副鼻腔炎(蓄膿症)で膿が溜まる部位は、おでこの部分にある前頭洞(ぜんとうどう)、鼻のわきにある篩骨洞(しこつどう)、ほほの部分にある上顎洞(じょうがくどう)の3か所です。
また、顔全体に広がる三叉神経は眼神経、上顎神経、下顎神経の3つに分岐しています。
- おでこの部分にある前頭洞(ぜんとうどう)に膿が溜まるときは、その近くにある眼神経が刺激され目の周りが痛みます。
- 鼻のわきにある篩骨洞(しこつどう)に膿が溜まるときは、その近くにある上顎神経が刺激されこめかみ周囲が痛みます。
- ほほの部分にある上顎洞(じょうがくどう)に膿が溜まるときは、その近くにある下顎神経が刺激されほほやこめかみ周囲が痛みます。
さらに副鼻腔全体に炎症が波及している場合には、三叉神経すべてが刺激され、雷が落ちたような激しい頭痛を自覚するケースもあるのです。
特徴2)下を向くと頭痛がひどくなる
頭の位置を変えると、副鼻腔内に溜まった膿の圧力のかかり方が変化します。
とくに、顔を下に向けると圧力が強くかかるようになり、周囲の神経を圧迫することで頭痛が酷くなります。
副鼻腔炎(蓄膿症)の頭痛の治療法
副鼻腔炎(蓄膿症)の頭痛の代表的な治療方法は、以下の5つです。
- 頭痛薬を服用する
- 抗生物質を服用する
- 鼻洗浄をする
- 抗アレルギー剤や点鼻ステロイドを服用する
- 手術治療を受ける
順に解説します。
頭痛薬を服用する
副鼻腔炎(蓄膿症)が原因の頭痛でも、頭痛薬を服用してかまいません。
しかし、頭痛薬はあくまで対症療法。
頭痛がおこる原因を治療している訳ではありません。
一過性に頭痛が改善しても、副鼻腔炎(蓄膿症)が治っていなければ、また頭痛を起こす可能性があります。
副鼻腔炎(蓄膿症)が原因の頭痛は、頭痛薬に頼り過ぎず、適切な治療を受けることが症状改善のためには重要です。
抗生物質を服用する
細菌感染が原因の副鼻腔炎(蓄膿症)では、炎症を改善するために原因菌を殺す抗生物質を服用するケースがあります。
抗生物質はとても多くの種類があり、原因菌によって服用する薬の種類・量・服用期間は異なります。
副鼻腔炎(蓄膿症)の原因菌に合った抗生物質を服用しないと、症状が改善しなかったり、悪化してしまうことも……。
抗生物質は自己判断で服用せず、医師の指示に従って服用するようにしましょう。
鼻洗浄(鼻うがい)をする
鼻洗浄は、片方の鼻の穴から洗浄液を注入し、副鼻腔内に溜まった膿を反対側の鼻の穴へ洗い流す治療方法です。
水ではなく、ぬるま湯にした鼻洗浄専用の液(生理食塩水)を使うことで痛みを軽減できます。
上を向いて水を注入すると、中耳炎になることもあり注意が必要です。市販の鼻うがいだと奥の方まで洗い流せないこともあり、当院で手術を行う方や行った方は医師にご相談ください。やり方が間違っていると鼻の粘膜を傷つける可能性もあります。
抗アレルギー剤や点鼻ステロイドを服用する
抗アレルギー剤や点鼻ステロイドには、鼻の粘膜や副鼻腔の炎症を抑える効果が期待できます。副鼻腔の炎症が治まると、鼻の通りが改善し、頭痛が軽減する可能性があります。
しかしステロイドは内服でやみくもに長期間使用し続けると、骨粗鬆症、糖尿病、高血圧、副腎不全など重篤な副反応がでることもあります。
さらに抗アレルギー剤は、鼻水鼻づまりなどのアレルギー性鼻炎の症状を軽減する効果が期待できますが、副鼻腔炎(蓄膿症)の治療効果は期待できません。
抗アレルギー剤や点鼻ステロイドの服用はあくまでも補助的な方法と考え、副鼻腔炎(蓄膿症)の治療をおこなう方が頭痛の軽減には効果的です。
手術療法を受ける
上記の方法で副鼻腔炎(蓄膿症)の改善がみられない場合には、手術療法をおこなうケースがあります。
当院の手術療法は、日帰りの内視鏡手術です。
副鼻腔炎(蓄膿症)の手術療法では、次のような効果が期待できます。
- 副鼻腔に溜まった膿を洗い流す
- 副鼻腔や鼻の通り道を広げる
- 副鼻腔や鼻の骨や組織を切除し鼻の通りを改善する
副鼻腔炎(蓄膿症)の頭痛を放置するとおこること
副鼻腔炎(蓄膿症)の頭痛を放置すると、次のようなことがおこる可能性があります。
- 慢性化する
- 合併症を発症する
順に解説します。
慢性化する
副鼻腔炎(蓄膿症)の約70%は治りますが、残りの約30%は慢性化します。
慢性化してしまうと、ちょっとした体調不良や疲れで副鼻腔炎(蓄膿症)の症状が現れやすくなりますし、なかなか頭痛も改善しなくなってしまいます。
合併症を発症する
副鼻腔炎(蓄膿症)を適切に治療しないと、炎症が耳に及んで中耳炎を発症する可能性があります。
さらに炎症が広がり、目の神経に影響を与えると視力低下や失明のリスクがあります。
まれに広がった炎症が脳の神経に影響を与えると、神経障害や麻痺、脳膿瘍や髄膜炎など、とても重篤な合併症を発症する可能性があるため、副鼻腔炎(蓄膿症)を放置してはいけないのです。
当院で受けられる副鼻腔炎(蓄膿症)の治療
まずはお一人おひとりの症状や鼻の粘膜の状態をチェック。
副鼻腔炎(蓄膿症)の原因や症状に合わせて、抗生剤の服用や抗アレルギー薬・点鼻薬・鼻洗浄など内科的治療をおこないます。
内科的治療でも症状の改善が改善しない、副鼻腔炎(蓄膿症)の再発を繰り返す、慢性的な頭痛や合併症に悩まされている患者さんには、手術療法をご提案します。
当院の手術療法は日帰りです。
手術は内視鏡でおこなうため傷はとても小さいですし、お体の表面・お顔には傷ができない方法で治療をおこないます。傷口は鼻の中だけです。
お仕事やご家庭の都合で入院治療が難しい方、お体への負担を最小限にしたい方は、ぜひ当院へご相談ください。
関連ページ:副鼻腔炎(蓄膿症)・鼻炎の日帰り手術
副鼻腔炎(蓄膿症)の頭痛は放置せず、当院へご相談を!
副鼻腔炎(蓄膿症)の頭痛は、副鼻腔内に溜まった膿が神経を圧迫したり、周囲に炎症が波及して起こっています。
頭痛薬はあくまで対症療法。
頭痛の原因となっている膿を減らしたり、副鼻腔内(蓄膿症)の治療を適切におこなわないと症状の改善が見込めません。
時には、慢性化したり予想外の合併症を引き起こすことも……。
副鼻腔内(蓄膿症)の頭痛にお悩みの方は、まずは原因や症状に合わせた内科的な治療を始めてください。
今までよりも、症状の改善が期待できます。
また、副鼻腔炎(蓄膿症)の治療に難渋している、つらい症状が改善しない方は、ぜひ一度当院へお気軽にご相談ください。
手術療法を含め、患者さんお一人おひとりの症状やお悩みに合わせた最善の治療を提供します。
この記事の監修者
・埼玉医科大学医学部卒業
・日本大学附属板橋病院 臨床研修医終了
・東京慈恵会医科大学 耳鼻咽喉科 勤務
・東京慈恵会医科大学附属第三病院 耳鼻咽喉科 勤務
・東京都保健医療公社 豊島病院 耳鼻咽喉科 勤務
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